#Books7 センス・オブ・ワンダーを探して

このブログで2回目の登場となりました、

福岡伸一先生の対談形式の本(初回登場は拙ブログ「生物と無生物のあいだ」)。

お相手は「聞く力」でおなじみの阿川佐和子さん。

Books4にて紹介 生物と無生物のあいだ

 

 

福岡先生といえば、分子生物学者のお立場で言うと

「GP2」

「ノックアウトマウス」

「動的平衡」

などのキーワードに紐づいて語られるかな、と個人的に思っています。

 

今回は、本の紹介というよりは、

よりブログ的な内容になりますが

上記キーワードの一つ、「動的平衡」の観点から、

最近のoranjeで起こった実態について考えたことをつらつらと書いていきたいと思います。



と、まずはここで、動的平衡について。




動的平衡

=====

「生命とは何か」を考える際に提示した概念で、生命であるには「ある欠損が起きた場合に、それを補うよう(=平衡)に反応が起き(=動的)、それは”まさにそのとき”であるからこその反応である」ということ。

=====

 

 

 

むちゃくちゃ簡単に(なるべく正しく)言うと、

何かが起こっているのは、まさにその時その場でのことで、必ずしも「これ!」と指差しできる特定のものが要因になっているわけではないかもしれない

ということ。

 

これに対する態度が、機械論的なもので、

「なに!?不具合があるだと!?!?よし、じゃあ故障の原因をつきとめて、そこの部品を新しいのに換えといて!時間あるときでいいよ、ちゃんと戻るから!」

といった感じでしょうか。




書き手の意図がバンバン入ってますが、

機械論的な方は、やはり「モノ扱い」っぽい感じがありますね。



ここから、

この動的平衡の考え方をoranjeで起こった実態に照らしていきたいと思います。

 

当たり前ですが、oranjeは学びの場なので、

きゃっきゃはしてるものの、

やっぱり頭を悩ませたり、

難しい問いに直面することは

けっこうあります。

 

そうなったときにもちろん個人差はありますが、

時間がとまったように口数が減り黙ってしまうパートナーもいるわけです。

 

もちろんこれが「だめ!」というわけじゃないです。

彼らのあたまの中ではグールグルいろんなところに思いがめぐらされているわけですから。

 

ただそれがいろんなところすぎて、

彼ら自身も整理ができてなかったり

半分パニクってたりして

本人も「わー」となっている。

 

そしてその表現型として『黙る』になっている。

 

 

理由はきっといろいろあると思います。

■頭の中にはあるけど言語化できない

■思考停止になっている

■問いの意図がわからない

など。

 

で、それに対応したその原因(というのは少し抵抗あるけど)もあります。

□語彙が少ない

□思考力が足りない

□論理展開が苦手

など。

 

どちらにせよ、けっこう認知的な側面から指摘される。

 

 

そして、こういったお子さんにする大人(教育者)のアプローチは二つあると思います。

 

◆とことん話し合い解決していくタイプ(とことんタイプ)

◆事実だけきちんと受け止めほにゃっと接するタイプ(ほにゃっとタイプ)



前者は、

「なんでそうなったのか」を会話によって探り、

「そうならないようにするにはどうしたらいいか」を発見し、

「それを意識して次に対応する」

という感じ。

さっき、「認知的」といいましたが、

これは、いわゆる力として語られることが多いのでそれの補完/充足の発想に行きやすい。

もちろん、責めるような言い方はしてはいけないのは当然ですが、

とはいえ、やはり心にぐっと入ってこられる感じはありますね。

へこんでいると少ししんどいかも。

 

後者は、

「その日たまたま気分がすぐれなかった」とか

「なんとなく話すのがイヤになるスイッチが入っちゃった」とか

本人でも気づいてすらない”なにか”がその瞬間に表層化してしまったと考え、

「まぁそんなこともあるよね。今はいいよー、しゃべりたくなったらしゃべってね。」

くらいでとどまり、

本人の日常性から本人が気づけるように支援していくアプローチ。

時間はかかるし、その間にもいろいろと困難に出くわす可能性はあるけど、

それこそ日常性をダイナミックにとらえて支援するので、

プレッシャーがあったり「~~しないといけない」と思わなくていい。

とってもほにゃっとしている。

(”放置”とは全く違います)




ここらで元に戻ると、私が感じたのは、

機械論⇔とことんタイプ

動的平衡⇔ほにゃっとタイプ

の図式(下図)。

 

 

 

これは何を教育の目的にするかで変わってくると思いますし、上下関係はないと思います。

そして、どちらも方法としてはいろんなものが世の中に出回っている。

もうこれは完全に好みの話だと思いますが、

oranjeは動的平衡的なほにゃっとタイプの支援を大事にしたいなーと思っています。

 

 

ーーーーー

少しだけ本の紹介もしておきます。

 

センス・オブ・ワンダーを探して

生命のささやきに耳を澄ます

「生物と無生物のあいだ」よりかは本書の方が、「動的平衡」「ノックアウトマウス」がわかりやすく描かれていますし、福岡先生のセンス・オブ・ワンダーや興味関心のバックグラウンドがあるのでとってもやさしかったです。

小学校高学年さんは、一度読んで「何を大切にしていくか」を考えるきっかけにしてもいいかもしれませんね。

阿川さんの聞き方も「かゆいところに手が届く答えを引き出す」聞き方なのでいい勉強になりました。

 

読書の秋に、いや、もう冬かな。ぜひどうぞ。

 




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oranje代表

自由研究パートナー

冨永 岳

Tominaga Takeshi

長野育ち 御室出身

京都教育大学大学院教育学研究科 卒

京都教育大で、探究学習や自由研究の有用性を見出す。日常性に着目した学びについての研究として、現行の教育とは別視点の教育を提案した。

大学院卒業後、準備期間を経て、地元・京都の御室で探究学習や自由研究で学ぶoranjeをスタート▶ブログ「漫画でいうと第1巻の第1話がすきな代表の話し

■影響を受けた本■
・(新)13歳のハローワーク
・選択の科学

・善の研究

 ■すきなこと■

外遊び。山を走ったり、海で泳ぐのがすき。

あと、カレーが大好き。


 

Special THANKS

oranjeでは、授業の開発や教育研究について様々な方にご支援いただいています。

京都教育大学

理科教育研究室

村上 忠幸

Murakami Tadayuki

兵庫県の県立高校の化学教員を15年間勤め、1999年から京都教育大学理科教育研究室で探究学習の研究をしている。研究テーマは、新しい時代の教育に向けて前仮説段階探究、messing about、マルチプル・インテリジェンス、自己理論化、省察、メンタリングなどのキーワードを用いて「経験からの学び」について検討している。

 

1957年1月11日生まれ

兵庫県北部の養父出身

滋賀県私立教員

小巻 一歩

Komaki Ippo

 大学院で生物の進化に関する教材を研究すると同時に探究学習に興味を持つ。自分がおもしろいと思うこと、興味を持っていることを生徒と共有するのを目標に、現在は滋賀県の私立高等学校で勤務。

oranjeでは自由研究パートナー、授業開発のアドバイザーなどボランティアとしてかかわる。

 

1991年7月12日生まれ

京都市衣笠出身

京都教育大学大学院 教育学研究科 修了