Books#4 生物と無生物のあいだ

 

(NHK Eテレのミミクリーズの監修でもおなじみ(?))福岡伸一さんの著書です。

 

出版から10年以上経っていますが、

読み物としても非常に面白く、

専門的ではありますが惹きこまれるように書かれた内容で、

知識がさほどなくても「へー!」とか「なるほど、おもしろい!」と思いながら読める一冊でした。



一言でいうと、

「研究生活ってこんな感じなんや」

が(楽しそうなとこも、楽しくなさそうなとこも(←ここ大事))如実に書かれている点が

この本のいいといわれているところなんだなと思いました。




印象的なのは、失敗の経験や研究生活の苦難(←ここ大事:再)を赤裸々に語られていることでした。



私たちは、「〇〇が■■を発見!」とか「△△を開発!」とかって聞くと、

その成功談に目を向けてしまうので、苦労されたことにまでなんとなく意識を向けられていません。

 

向けていたとて、

「いろいろ苦労されたんだろうな、きっと」

くらいのもんで、具体的なことには想像も及びません。

 

もちろん、専門的なことがわかるわけでもないので、

ある意味当たり前といえば当たり前なのですが、

そこを「あ、これを知るためにはそういう実験をして、そういう失敗があるんやな」と思わせてくれました。

 

 

ただ、その失敗も悲観的に書かれていないところが好印象です。

「できないことが1つわかった」

「これじゃできないから次あれやればいいや」

とかなり前向きにとらえられている(軽くはない)ところが、

私たちにも研究に対して積極的にさせてくれるところです。

 

そしてその原体験となるようなエピソードがエピローグに書いてありました。

(時間がない方はここだけでも読むとけっこうおもしろいです)

 

 

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トカゲの卵を見つけた福岡少年。

孵化を試みるべく家に持ち帰りました。

 

まだかまだかと心は早って、いてもたってもいられません。

そして、「卵に小片をあけてそっと覗いてみよう」と、

かたい殻をそーっと割ってみました。

すると、そこにはたしかに誕生まで精一杯の力を蓄えるかのように眠る赤ちゃんがいたのです。

 

それをみるやいなや、福岡少年はとんでもないことを悟ったのです。

きっと、「悟る」という言葉が一番似合うでしょう。

 

 

「自力で殻を破る前の赤ちゃんは外気に触れると死んでしまうんだ」

 

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福岡先生はこの体験を「澱(おり)」と表現し、

このセンス・オブ・ワンダーは生物学者になった今でも自分にとって忘れられないものとなっている、

と明記されています。

 

 

お子さんたちはこれから

夏休みに入り、宿題の大きな山場”自由研究”をすることになると思いますが、

まずはこんな原体験になるようなことを経験されてみてはいかがでしょうか。

 

そして、 あくまで”研究”と名のつくものを経験するには、

”失敗”と思われるものも平等な1つのデータとして扱う心構えで挑んでみてはいかがでしょう・・・。

 

 

もちろん、oranjeのふかまりコースでは、そこを日常的に実践しています。

今年の夏はこれまでにない研究生活を一緒にしましょう◎