Books#1 子どもの脳を傷つける親たち

今日は、本の紹介をば。

 

タイトルは【子どもの脳を傷つける親たち】というなかなかショッキングなもの。

作者は、友田明美さんという方で福井大学で子どものこころの発達研究をされている方です。

 

キーワードはマルトリートメント(Maltreatment)。

タイトルからも”虐待”をイメージできますが、虐待に限らず、”不適切なかかわり”全般を示しています。

 

つまり、明らかにわかる「暴力」だけでなく、

・無視(ネグレクト。これも比較的有名な話)

・性的虐待

・夫婦喧嘩やDVの被害及び目撃

なども含まれるわけですね。

 

 

これが、単なる「こころに傷を負うことになるからダメです」って話にとどまっていると、

「なんや、まぁそらそうやん」で終わるのですが、

 

 

この本の強い訴えは、

 

「脳が物理的に変化する」

 

というところでした。

(MRI的なごっつい機械でとった写真なんかも載ってます)

 

 

『物理的に』ってところが目からうろこで、生存のための適応による変化だそうです。

脳が(例えば)「この過酷な状況を乗り切るには、○○をもっとおっきくせなあかん!」とかいって形を変えちゃうわけですね。

 

で、これもポイントだと思うんですが、

「脳が変わる」と「行動も変わる」ということ。

適応の結果ですね。

 

 

ただそれが、

・第3者に対して暴力的になる

・自傷行為に及ぶ

・言語に遅れが出る

などといった、社会適応の面では難しい形であらわれてしまうのがやや厄介なところ。

 

もちろん、それはその子が悪いわけでもなく、その子が「○○してやろう!」と意図してやっているわけでもないんですね。

 

脳の構造的に、あるいは、生化学的な作用のせいで、

そう”なってしまっている”

だから、その子にしたら”ふつう”のことが反社会的行動になってしまうのでつらい。

 

そういう現状があるということでした。

 

 

 

 

さらにここからもう一歩。この本の教訓は、

「だから、マルトリートメントがよくない」ということではないと思いました。

 

ほんとは(たぶん)こっちが教訓▼

「行動は脳によるもので、脳はそれぞれ人によって違う」

ということ。

例えそれが、マルトリートメントを受けていようと受けていなかろうと。

 

 

ここからoranje流の話しになっていきますが、

今この時代では、「多様であること」がとても強調されています。

 

ただ先ほどの教訓にある通り、脳はそれぞれ違うんです!

 

もう一度言います。

 

!!脳はそれぞれ違うんです!!

 

(多様性を強調する今の時代にピッタリやーん◎)

 

 

だから、妙に特別なことをしなくても、

・脳が違うということを少し強めに意識し、

・それぞれのこだわりや”すき”を心地よくしていくよう支援する

ことがこれからの教育の在り方だと思います。

 

 

間違っても、こどもの【努力・根性・気合】だけを頼りにガンガン時間をかければいいってだけではないことにお気を付けください◎

 

 

ということで、ここらで本の紹介The Firstを終わりまーす。