「あるがまま」でいてくれたすべてのキャンプ参加者に。

 夏に続いて第2回の今回のキャンプは対象を高学年としました。oranjeのパートナーを日々観察していると、彼らが取り組んでいるテーマはごく日常的ではありますが、それでもやはり「研究モード」になってから彼らは教室の玄関を入ってきます。つまり、真の意味での「日常性」「自由な時間のすがた」(=あるがままのすがた)は普段なかなか見ることができず、私としても「研究の支援」が大きな関わりとなっていました。自分を使い分け、上手にスイッチを切り替えることもきっと「大人になっていくこと」なのだろうと思いますが、一方で私の興味としては、やはり【あるがままのすがた】から「らしさ」や「こだわり」を発見し、それを研究モードに入ったときにいかんなく発揮する学びを設計することにあるので、研究モードではないみんなのすがたをとても楽しみにしていました。

 

 いざ、蓋を開けてみるとどうでしょう。はじめこそ互いに緊張があったようでしたが、それもすぐに緩み、初日のお昼過ぎにはとっくに「みんなで」遊び始めるようになりました。「遊び」、特に「外遊び」はoranjeでもとても推進している時間の使い方ですが、それは「空間的な開放感がある」、「複雑性が高い」、「身体性のみで取り組める(資本からの解放)」からで、本人さんたちの「資質と能力」のみによって活性化するからです。このすがたこそが彼らの「あるがまま」なのでしょう。根拠はありませんが、ゆるやかな制限のある自由の中で彼らが遊んでいるすがたが「あるがまま」であるということは確信をもつことができました。これこそ私が特に高学年のお子さんたちと過ごす中で見たかったすがたでした。

 

 そのすがたを脳に焼き付け、次はそれぞれが取り組むべき課題に向かっているすがたに意識を向けました。すると、こちらもやはり「らしさ」や「こだわり」らしきものが手に触れられるかのようにありありと見えてくるのです。「らしきもの」といったのは、今回の振り返りだけではそれらを断定できるところまで至ることができなかったこと、また彼らがそう認識しているものがごく一部だったからです。当然、これらを第3者である我々が決めつけるわけにはいきませんから。しかし、彼らであれば今回のキャンプで行ったような活動とその振り返りを繰り返すことできっとメタ認知してくれることと思っています。それは彼ら自身が今回のキャンプを作り上げてくれたからです。

 

 カバキャンプのコンセプトといえば、

保護者の方から離れ、ジリツのために些細なことから少し難しいことまで挑戦し、(Challenge for Aliveness)

非日常の中の「日常」で得た気づきを日常に戻って活かしてほしい。(Back home with Awareness)

です。「まだまだへっぽこだな」と思う一方、「お、そういうことは自分たちでできるのね」と感心したところは多々ありました。とりあえず「文句を口にする」のではなく、「じゃあどうすれば解決していけるか/そんなことをしなくていいようにすむか」に少しずつ変わっていってくれたことは素直に尊敬しています。さて、みんなの自己評価としての達成度はどうでしょう?それをどれくらい認識するか、今後自然な態度にできるかが、変容を資質に変えるものだと思います。カバキャンプをそのきっかけとなる機会と捉えてくれれば幸いです。

 

 今回も頭と体を動かしてくれて、子どもたちが安全に健康にキャンプを完遂するために奔走してくれたチームには感謝しています。力の足りない私と惜しむことなく協働してくれ本当にありがとう。

 キャンプをしている間にも自分の変容を前向きにとらえ、変わり続けてくれる参加者、チームのみんなとはまたキャンプをしたいと思うものです。そしてそのときには私自身さらに新しい資質をもった支援者としてみんなと関われたらと思っています。

 そう遠くないいつかに、また。

 

2019.11.5

oranje代表

カバキャンプ統括責任者

 

冨永 岳